日常生活において、コーヒーを飲む方は多いと思います。コーヒーにはカフェインやクロロゲン酸(ポリフェノール)が含まれています。コーヒーは運動と健康においてどのような効果があるかについて投稿します。各章ごとにまとめを用意しているため、そちらだけでも目を通しもらえたらとおもいます。
コーヒーについて
カフェインとクロロゲン酸(ポリフェノール)の期待できる効果について

コーヒーには、さまざまな成分が含まれています。
今回はその中でも、カフェインとクロロゲン酸(ポリフェノール)について、詳しく説明していきます。
栄養素は、体の状態、栄養状態、健康状態などによって、効果がある人と効果がでない人に分かれます。体の状態は個人差がある為、同じ栄養素でも全ての人に効果があるわけではありません。また、適切な量も人により個人差があります。そのことを踏まえて読んでいただければと思います。
カフェインとクロロゲン酸の期待できる効果は以下になります。
カフェイン
・集中力の向上
・認知機能向上
・持久力向上
・インスリン感受性改善
クロロゲン酸
・認知機能の向上
・腸内細菌叢のバランス改善
・腸バリア機能(TJ)の改善
・抗酸化酵素の生成促進
章のまとめ
コーヒーに含まれるカフェイン、クロロゲン酸(ポリフェノール)には、健康な状態に近づくために期待できる効果が複数あります。日常生活の中で、上手にコーヒーを嗜みながら健康な状態を目指していきましょう。
上記の効果がなぜ期待できるのか、次章からカフェインとクロロゲン酸(ポリフェノール)について詳しく説明していきます。
カフェインについて
カフェインとは?
窒素を含むアルカリ性の植物成分。
カフェインはアデノシン受容体に結合することで、
・覚醒作用
・解熱鎮痛作用
・強心作用(心臓の拍動を強くして、血流を送り出す能力を高めること)
・利尿作用
などを示します。
カフェインの効能
・精神的な覚醒(100~200㎎/1日)
・認知機能の向上(65~200㎎/1日)
・パーキンソン病リスク低減(125~200㎎/1日)
・運動能力の向上(体重1㎏あたり1.6~3㎎)→体重70㎏でカフェイン210gの為、コーヒー1杯でも効果がある場合もある。
カップ1杯(150㎖)で、カフェインは100㎎~150㎎です。
カフェインは、2004年以降はドーピングの禁止リストから外れています。
最近では、アスリートのパフォーマンス向上をサポートするエルゴジェニックエイドとして知られており、カフェイン摂取による運動機能の向上が報告されている研究もあります。
カフェインの致死量
・5,000~10,000㎎
小児の場合は体重1㎏あたり20㎎程度で嘔吐などの症状が出る恐れがあります。カフェインの分解能力は個人差があり、コーヒー1杯でも症状が出る場合がある為、小児は避けた方が安全です。
カフェインの働き
カフェインは神経伝達の働きをする物質であるアデノシンのアンタゴニスト(神経伝達物質の働きを阻害するもの)です。
アデノシンの働き
アデノシン受容体は主に中枢神経系、心筋、血管平滑筋に存在しています。
この受容体にアデノシンが結合することで、中枢神経系では誘眠(眠気)、心筋では心臓活動量低下、血管では弛緩などの反応が起こります。簡単に考えるとリラックス系の働きが期待できます。
カフェインはBBB(血液脳関門)を超えることができ、中枢神経系に存在するアデノシン受容体へ結合することで、アデノシンが本来持っている働きを阻害するため、覚醒効果が得られるとされています。
章のまとめ
カフェインの効果がでる理由は下記になります。
・覚醒効果→誘眠の効果を阻害するため
・心臓の活動量を上げる→心臓の活動量の低下を阻害するため
・血管の収縮→血管の弛緩作用を阻害するため
これらの効果から心臓の強心作用が起こると考えられます。
ご自身の体の状態を確認して、コーヒーを日常生活で利用できるといいと思います。運動もプラスすることで、より健康な状態に近づいていきます。
次章では、カフェインが体の中でどのように働いているかを具体的に説明します。
カフェインの働き
カフェインはアドレナリンやノルアドレナリンの分泌を刺激し、効きを長くする
カフェインは中枢神経を刺激し、容量依存的にカテコールアミン(ノルアドレナリン)の分泌を増加させます。
(Christos Papadelis et al.Brain Cogn.2003 Feb.)参照
ある程度、カフェインを摂取すると耐性ができていくため、誰でもカフェインを摂れば摂るほど効くわけではありません。耐性ができていない方は、カフェインを摂れば摂るほど、カテコールアミン(ノルアドレナリン)の分泌は増加されると言われています。
カフェインはアドレナリンの働きを残存させる
ストレス下で分泌されたアドレナリンは1次情報として中性脂肪を分解する酵素を活性化します。
その際に生成される2次情報伝達物質がcAMP(サイクリックエーエムピー)です。このcAMPの働きによってストレスに対抗するエネルギーが産生され、必要量が満たされればPDE(ホスホジエステラーゼ)の働きでcAMPは分解されます。
しかし、カフェインはPDEの働きを抑制してcAMPを長く残存させることで、中性脂肪分解のサイクルを残存させます。
章のまとめ
カフェインにより、脂肪細胞に蓄えられている中性脂肪の分解が長く行われます。必要なエネルギー量が作られている状態で中性脂肪の分解が長く残存することで、低中性脂肪を作ってしまうと考えられます。低中性脂肪も体の中のエネルギー不足を示すため、慢性疲労を持っている人が多いことがあります。
コーヒーをたくさん飲む方は、cAMPが長く残り中性脂肪が分解されて、低中性脂肪が作られているかもしれません。
日々の疲れが取れない場合は、一定期間カフェインの量を減らすと改善する場合もあります。
次章では、食品のカフェイン含有量について説明していきます。カフェインの量を減らす場合の参考にしてもらえればと思います。
カフェイン含有量と健康について
食品別のカフェイン含有量

カフェインの構造式
・エスプレッソ(30㎖)→60㎎
・レギュラーコーヒー(100㎖)→70~100㎎
・インスタントコーヒー(100㎖)→50~100㎎
・ディカフェコーヒー(100㎖)→3㎎以下
・紅茶(100㎖)→30~50㎎
・緑茶、ほうじ茶、ウーロン茶(10㎖)→約20㎎
・玉露(60㎖)→約100㎎
・コーラ(100ml)→約20㎎
・エナジードリンク(100㎖)→30~40㎎
・リポビタンD(100㎖)→約50㎎
・高カカオチョコ(30g)→50~60㎎
・チョコレート(30g)→約30㎎
・ミルクチョコ(30g)→5~10㎎
・ココア(100㎖)→約10㎎
カフェインが含まれる医薬品
カフェインには鎮痛作用があるとされているが、単独ではそれほど強い効果はありません。
アセトアミノフェンやNSAIDSと一緒に摂ることでアジュバント作用(併せて摂ることで薬の効果を促進する)が期待されます。この効果を得るには上記の薬とあわせて100㎎程度のカフェインを摂取することで頭痛、抜歯後の痛み、産後の痛みなどを有害事象なく緩和したという報告もあります。
カフェインの過剰摂取による症状
カフェインに対しては、個体差が強く、少量のカフェインでも発症する人がいます。症状を確認しながら、カフェインの摂取量を調節してください。一度にカフェイン500㎎を摂取すると下記症状が出やすいとされています。
・眼がチカチカする
・耳鳴り
・イライラ
・うつ
・落ち着かない
・脅迫観念、幻覚
・頭痛
・不眠
・震え、けいれん
・呼吸数増加、浅く早い呼吸
・不整脈、心拍数増加
・腹痛、胃痛、吐き気、嘔吐
・頻尿
章のまとめ
日常的に、カフェインが含まれる食品を摂取している場合は、下記可能性があります。
・低血糖のため糖を補おうとしている可能性
・カフェインの興奮作用によって、血糖を安定させようとしている可能性
カフェインに対しては個人差が大きいです。コーヒーにより、健康に近づく方もいれば、健康ではない状態に近づく方もいます。ご自身が健康になるために症状等確認しながら、コーヒーを飲むことをオススメします。
カフェインと睡眠と脱水の関係
カフェインの最終摂取は睡眠8~10時間前にする。
カフェインの血中半減期は8時間程度
コーヒーに含まれるカフェインは、アデノシンの結合阻害と交感神経刺激の2点で、入眠の阻害や睡眠の質悪化に繋がることが考えられています。カフェイン摂取量が100㎎を超えると覚醒効果を感じる人が多いという報告もあります。
よって、入眠8~10時間前にコーヒー1杯(150㎖でカフェイン100~150㎎)を摂取すると、入眠時にはカフェイン残存は50~70㎎になり、覚醒効果は消失していると考えられます。
また、カフェインはMg(マグネシウム)の排泄も促進するため、Mg不足による入眠阻害にも気を付けて下さい。
昼に仮眠を取る方はコーヒーナップ
コーヒーは摂取後、吸収されて血中に現れるまで30分ほどかかり、60分程で血中濃度が最大となります。
よって昼寝またはナップ(10~20分)の前にコーヒーを摂取すると起床時に覚醒効果が現れはじめて、寝覚めがスッキリする効果が得られます。
コーヒーは脱水状態を作るのか?
コーヒーに含まれるカフェインは、尿の産生(利尿)を増加させる働きを持っています。
これは腎臓における、アデノシン受容体の遮断を介した尿細管再吸収の抑制によるものと考えられています。
しかし、利尿=脱水ではありません。
コーヒーの基本的な成分は水であり、コーヒーを飲む際の水分摂取により、相殺できると考えられています。
下記のような研究結果も報告されています。
コーヒー1~2杯の常飲者(カフェイン200㎎/1日)に対して、400㎎/1日のカフェイン摂取量まで増加させた場合でも、体重、尿量、血清尿素窒素、尿の色や浸透圧をはじめとした数値に変化は起こらなかった。
こういった研究からもカフェインが脱水効果を持つとは言い難いです。
章のまとめ
・カフェインで眠れないという方は、睡眠8~10時間前にする
・仮眠(10~20分)を取る方は、その前にコーヒーを飲む
・脱水作用と利尿作用は違う作用になります。カフェインにより利尿されている為、コーヒーだけで水分補給するのではなく、他の飲料水も摂取することをオススメします。
コーヒーと血糖について
コーヒーとカフェインの持つ血糖上昇効果①
持久的運動パフォーマンスに対するカフェインのエルゴジェニック効果を確認するために、トライアスリート8名に運動1時間前にカフェイン、インスタントコーヒー、ディカフェインスタント、プラセボからなるドリンクを摂取しました。この際のカフェイン量は体重1㎏あたり5㎎です。
結果、カフェインとインスタントコーヒーグループで血糖の上昇が見られました。
(Adrian B Hodgson et al.PLoS One.2013.)参照
カフェインを体重1kgあたり5㎎とかなりの量ですが、持久的な運動とカフェインは相性が良いと思われます。また、カフェインありのグループは開始10分後でも血糖の数値が高いままという点も特徴的です。
この研究から、なぜ血糖が上がるのか考えてみると下記の可能性があります。
・カテゴラミンの分泌が刺激されることにより、肝グリコーゲンの分解
・中性脂肪が分解されて、血中の遊離脂肪酸が増えている可能がある。この過程でグリセリンも発生するため、これが血糖に代わっていると推測できます。
コーヒーとカフェインの持つ血糖上昇効果②
コーヒーの摂取と2型糖尿病には逆相関があることが報告されています。
コーヒー摂取がグルコース代謝に及ぼす影響を調べるために8件の臨床試験(n=247)を分析した。コーヒーの摂取は短期(摂取後1~3時間)ではグルコースを上昇させ、長期(2-16週間)ではインスリン分泌能力が向上し、グルコースに低下が見られた。
結果としてコーヒーは2型糖尿病に対して予防的に働くことが考えられる。
(Caio E G Reis et al.J Tradit Complement Med.2018.)参照
コーヒーと血糖コントロール③
コーヒー(カフェインとクロロゲン酸)はインスリンシグナル伝達を改善するという報告もあります。
コーヒーを頻繁に飲む人の方が、飲まない人より2型糖尿病の発生率が低いという研究結果もあります。
カフェインは小胞体ストレス下でのインスリンシグナル伝達を改善し、クロロゲン酸はIRS2(インスリン受容体基質2)の下流でのインスリンシグナル伝達を促進する。
この結果からコーヒーに含まれるカフェインとクロロゲン酸が膵臓β細胞を保護することが示された。
(Yuka Ihara et al.Kobe J Med Sci.2023.)参照
小胞体ストレスとは、慢性炎症や過剰な酸化ストレスで、小胞体の機能が低下して、細胞内の代謝に利用されるタンパク質の発現が阻害されている状態です。
コーヒーと血糖コントロール④
カフェインの長期摂取はインスリン感受性を改善しますが、既に2型糖尿病に罹患、機能性低血糖を頻繁に起こしている方は2週間~3ヶ月の間ディカフェにする方が良いかもしれません。
毎日コーヒーを2杯以上飲む2型糖尿病の患者7名(男性)が3ヶ月に及ぶ脱カフェイン生活を送りました。
2~3ヶ月に及ぶ血糖コントロールを示すHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)と直近数日間の血糖コントロールを示す1.5-AG(イチゴエ-ジー)の双方に改善がみられた。
(James D Lane et al.J Caffeine Res.2012.)参照
特にHbA1cが7.0%以上の方(糖尿病)、1.5-AGが10μg/ml未満の方(頻繁に機能性低血糖を発症)はディカフェに変えることで明確な改善効果が期待できると推測できます。
HbA1cだけで糖尿病が分かるわけではありません。空腹時血糖など他の数値も確認が必要です。
章のまとめ
・コーヒーは脂肪酸をエネルギーとして有効活用する持久系スポーツパフォーマンスと相性が良い。
・血糖のコントロールは、健康な状態に近づくために大切なことです。慢性疲労の寛解には、血糖の波をなだらかにすること、低血糖の時間を失くししていくことが必要です。コーヒーは血糖にも関係する要因の1つであること頭も片隅にいれておくといいかもしれません。
・あまりにも糖尿病が悪化している人や機能性低血糖が増悪している方は、カフェインを摂取しない方がいいと思います。 糖尿病の方はMg,Zn,VD,食物繊維摂取量に気を付け、機能性低血糖の方はそれに付け加えMCTオイルや食前のホエイプロテインなども用いていくと更に不調を改善しやすいです。
コーヒーとダイエットについて
コーヒーは脂肪合成を抑制し、脂肪分解を促進する
コーヒーに含まれるカフェイン、クロロゲン酸は脂肪合成における最初の2ステップである脂肪酸合成酵素、アセチルCoAカルボキシラーゼの活性を低下させる。
また、脂肪酸β酸化における酵素CPT(カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ)を増加させて脂肪燃焼を増加させるという報告もあります。(Renalison Farias-P Ereira et al.food Sci Biotechnol.2019)参照。
運動中の脂肪分解も促進
運動前に適量のカフェイン摂取すると絶食期間後に行われる最大強度以下での有酸素運動中の脂肪利用率が効果的に増加する可能性があるとされています。
この効果は容量依存的であり、脂質酸化に対する有意な効果を得るためには3.0㎎/㎏以上のカフェインが必要であるとされています。
(Daniel Collado-Mateo et al.Nutrients.2020.)参照
章のまとめ
・コーヒーは脂肪の合成を抑えて、脂肪燃焼効果を促す効果が期待できる。
この効果は体の状態、栄養素の分解能力など、個人差が大きいです。体の状態を確認しながら試してみることをオススメします。
健康とコーヒーの関係について
コーヒーと腸内環境について

クロロゲン酸は軽度の炎症を抑制する
高脂肪食は肥満を引き起こすだけでなく腸内細菌叢のバランスを乱し、腸透過性を高め、炎症促進サイトカインの放出を誘発させます。
クロロゲン酸は、高脂肪食やリポポリサッカロイドによる炎症を抑制するという研究結果もあります。
クロロゲン酸は腸のタイトジャンクションを強化する
腸上皮細胞間のタイトジャンクション(TJ)が脆くなることで、常時体内へ異物が混入しやすくなり炎症が慢性化します。(LGS、リーキーガットシンドローム)。
クロロゲン酸は、タイトジャクソン(TJ)を強化し、腸のバリア機能を強化する働きがあるとされています。
摂取されたクロロゲン酸の多くは、大腸まで到達し、腸内細菌叢による代謝を受け、ジヒドロカフェ酸、ジヒドロフェルラ酸となります。クロロゲン酸の摂取量に依存し、ビフィズス菌が有意な増加を示したという研究結果もあります。
コーヒーは便秘を改善するのか
コーヒーは多くの研究において、約30%の人に便秘改善効果が期待できるとされています。
カフェインは腸管の蠕動運動を刺激すると考えられているためです。
99名(男性58人女性34人、17~24歳)を被験者としてコーヒーが排便習慣に影響を及ぼすか調査した。
参加者の29%(その内女性が63%)は便意を引き起こすと主張した。
水、ディカフェコーヒー、コーヒーのいずれかを摂取すると、特にコーヒーで直腸やS状結腸における蠕動運動が増加したという研究結果もあります。
(Brown SR, Cann PA, Read NW. Effect of coffee on distal colon function. Gut.
1990 Apr;31(4):450-3. doi: 10.1136/gut.31.4.450. PMID: 2338272; PMCID: PMC1378422.)参照
クロロゲン酸および代謝されたカフェ酸は抗腫瘍効果を有している
クロロゲン酸はガン細胞に対するアポトーシスを促進する遺伝子の発現を上方に制御するという研究結果もあります。
(アポトーシスを誘導:BCX,BCL-Xs,BAD,Caspase,P53)
(アポトーシスを抑制:Bcl-2,BCL-XL)
カフェ酸は肝臓や腎臓での抗酸化酵素生成を促進し、酸化ストレスを減少させる。
カフェ酸はNF-kB、TNF-α、HIF-1αなどの腫瘍進行に関与する物質の働きを阻害する。
カフェ酸は腫瘍細胞における細胞死の誘導因子であり、動物実験でガンの増殖を阻害することが確認できるという研究結果もあります。
コーヒーと胃の関係
「コーヒーやお茶を飲む人」を週4回以上(3ヶ月)と定義し、「大量に飲む人」を2杯以上/1日と定義して逆流性食道炎の発症と関連があるか調査した。
計1,837名(男性970人、年齢51.57±10.21歳)の内、逆流性食道炎と診断された人は467名(25.4%)、427名がびらん性食道炎と診断されたが、コーヒーや紅茶との関連は見られなかったという研究結果があります。
(Tao-Yang Wei et al.Ci Ji Yi Xue Za Zhi.2019 Jul-Sep.)参照
コーヒーが逆流性食道炎を起こすわけではないが、既に罹患している方は注意が必要です。
コーヒーの摂取により胃酸、胆汁、膵液などの分泌やS状結腸の動きが刺激され、胆石のリスク軽減や腸内細菌叢の変容などの効果が期待されます。
しかし、既に逆流性食道炎に罹患している場合は、この胃酸分泌促進作用によって症状の悪化が起こるかもしれないので注意が必要です。クロロゲン酸も胃酸分泌を促進するためディカフェにも多少の注意は必要かもしれません。
章のまとめ
・コーヒーに含まれる、クロロゲン酸は軽度の炎症を抑制します。また、腸のバリア機能を強化する働きがあります
・コーヒーで直腸やS状結腸における蠕動運動が増加して、便秘が改善することもあります
・逆流性食道炎や胃炎の方は、コーヒーにより胃酸分泌が促進されることもある為、注意が必要です
コーヒーと認知機能
高齢者の認知機能とコーヒー
高齢ラット(19か月)に対してコーヒー10杯に相当するコーヒー添加食を8週間与えた。
対照群と比較し認知機能テスト(モリス水迷路)、協調運動や運動学習のテスト(ロータロッドテスト)において良好な結果をみせた。
その後、カフェイン単独では同様の効果は見られなかった。
ここからコーヒーの持つ神経保護効果はカフェイン単独ではなく、ポリフェノールによる影響が大きいものと思われる。
(Barbara Shukitt-Hale et al.Age(Dordr).2013 Dec)参照
34,282人の参加者を含む9件の前向きコホート研究をレビューした。(追跡期間1.3~28年とかなり幅は大きいです)
毎日1杯未満のコーヒー摂取と比べて、毎日1~2杯のコーヒーを飲むことは認知障害(アルツハイマー、認知症など)の発症と逆相関していた。
容量依存的にリスク低下を示すのではなく、発症リスクと「J字型」の関係が見られた=あまりに多くなるとリスクを高める。
コーヒー1~2杯の際に最も認知障害のリスクが下がる。
(Lei Wu et al.Clin Nutr.2017 Jun.)参照
コーヒーの香りが持つ効果
18~22歳の男女80名を炭素粉末の香りかコーヒーの香りを吸うグループに無作為に分けた。
コーヒー吸入群は注意力の持続、記憶速度などの認知パラメータが向上した。ただし、唾液中コルチゾールや血圧、心拍数に大きな変化は起きなかった。
(Thaneeya Hawiset.lntegr Mad Res.2019 Dec.)参照
歯科処置(ブローピングとスケーリング)を受ける際にコーヒーの香りによる影響を調べた。コーヒー吸入群は偽の香り吸入群と比較して、唾液中コルチゾールに25%程の減少が見られた。コーヒーの好みや摂取頻度による違いは見られなかった
(Praewpat Pachimsawat et al.Sci Rep.2021.)参照
章のまとめ
コーヒーの香りが好きな方は、その匂いを感じるだけで認知機能に良い影響があるかもしれないと考えられます。香りだけのため、ディカフェでもある程度の効果は期待できるのではないかと推測されます。
コーヒーと妊婦について
カフェインと妊婦
カフェインはBBBを超えるだけでなく胎盤関門も通過し、羊水や胎児にまで移行する。現状では200㎎/1日程度までであれば、有害事象(発育不全)は起こらないとされています。
しかし、妊娠中はカフェイン分解能力も半減するためディカフェが無難だと思います。
クロロゲン酸と妊婦
特に妊娠後期における胎盤の状態維持に重要なホルモンは、エストロゲンが代謝されて生成される2-MEDです。
これを生成するために必要な酵素がCOMTであり、COMTはクロロゲン酸の分解にも利用されるため、コーヒーの摂取によりCOMTが2-MED生成に利用しづらくなる可能性があります。
コーヒーと月経痛
コーヒー摂取量の増加と月経痛の程度の相関性は不明です。
しかし、エストロゲン過剰によって月経痛の増悪が起こるのは確かであり、エストロゲンの代謝・排泄を遅延させる可能性があるものは減らす方が良いかもしれないです。
章のまとめ
・妊娠中はカフェインの分解能力も落ちるため、コーヒーは飲まない方がいいかもしれません。医師と相談して判断をお願いします。
コーヒーとスポーツパフォーマンスについて
カフェインは持久的な運動パフォーマンスを向上させる
持久的運動パフォーマンスに対するカフェインのエルゴジェニック効果を確認するためにトライアスリート8名に運動1時間前にカフェイン、インスタントコーヒー、ディカフェインスタント、プラセボからなるドリンクを摂取させた。
この際のカフェイン量は体重1㎏あたり5㎎である。
結果、カフェインとインスタントコーヒーグループでパフォーマンス向上が見られたという研究結果があります。
(Adrian B Hodgson et al.PLoS One.2013.)参照
カフェインを習慣的に摂っているとパフォーマンス向上は起こらない
習慣的にカフェインを摂取している(1日約400㎎、4.9㎎/㎏)男性アスリート16名に対して、
プラセボ、カフェイン9㎎/㎏、カフェイン11㎎/㎏を摂取した後にベンチプレスにて1RMテストと1RM50%でのべンチプレスで筋持久力テストを行った。
カフェインの高用量急性利用は、カフェイン耐性ができているアスリートの筋力や筋持久力を改善しなかったという研究結果があります。
(Michal Wilk et al.Nutrients.2019.)参照
章のまとめ
・コーヒーにより、運動前から血糖が安定して、血中の遊離脂肪酸が増加する。これらをエネルギー源として、エネルギー供給や強心作用によって、持久的な運動のパフォーマンス向上すると考えられる。
・カフェインを日常的に摂り過ぎているとパフォーマンス向上は起こらない。
総まとめ
カフェインの恩恵を受けるためにカフェインを減らす
日常生活において、必要な時にカフェインの効果を感じるためにカフェインを減らすことが大切です。
カフェインフリーは段階的に
カフェインは安静時また精神的ストレスを受けている人のコルチゾール分泌を増加させます。
また毎日の摂取で多少の耐性は出来るが、コルチゾール分泌がなくなるわけではありません。
(William R Lovallo et al.Psychosom Med.Sep-Oct 2005.)参照
慢性疲労の改善にカフェインを抜くことは大きな効果を発揮するが、一気に0にすると離脱症状(頭痛・倦怠感など)に悩むことになります。離脱症状としては、頭痛、柳うつ、不眠、疲労感、集中力の欠如、吐き気、胃の不快感などです。
そのため、カフェインフリーは段階的に行う必要があります。
低血糖による離脱症状やコーヒー欲を予防するために、生蜂蜜を小さじ1~2程度をこまめに摂ることがオススメです。
カフェインフリーの流れ
①摂取量を減らす(1日に1~2杯)
・1日のカフェイン摂取量は、副腎への刺激を減らすために200㎎を目指す。コーヒー1杯(150㎖)でカフェイン100~150㎎。
・1~2週間
②ディカフェコーヒーや紅茶にする
・ディカフェに移行。ディカフェコーヒー1杯(150㎖)でカフェイン2㎎。紅茶1杯(150㎖)でカフェイン45㎎。緑茶1杯(150㎖)でカフェイン40㎎。
③最終的に楽しみとして1日コーヒー1杯、週1~2杯などにする。
コーヒーを飲む際の目安
・1日に2杯(1杯150~200㎖)カフェインとして300㎎までを目安にする
・15時以降は摂らない(最終摂取は入眠8~10時間前)
・慢性疲労の方はディカフェ(中性脂肪50㎎/dl未満)
・妊婦の方もディカフェ(妊娠後期は飲まない)
・糖尿病の方もディカフェ(HbA1c7.0%以上)
・機能性低血糖が強い方もディカフェ(1.5-AG 10µg/ml未満)
・逆流性食道炎、胃炎の方もディカフェ
2週間~3ヶ月のディカフェで血糖関連の数値には変化が期待できるとされています。
全体のまとめ
コーヒーの有用成分はカフェインとクロロゲン酸(ポリフェノール)です。
特にカフェインには交感神経を刺激し、エネルギー産生を促進することからエルゴジェニックエイドとしての効果も期待できます。
それほど大きな作用を持っているため、利用する人がコーヒーを適切に理解することで、安全に恩恵を受けることができます。
ご自身の状態に合わせて、1日に2杯程度のコーヒー・ディカフェコーヒーを嗜むことで日々に活力を生み出し、家族や知人と過ごす時間を楽しむことが出来ると思います。
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